相続は「プラスの財産」だけでなく「借金・保証債務」も引き継ぐことをご存じですか?負債がある場合の対処法を事前に知っておくことが大切です。
本記事では、相続で引き継ぐ負債の種類・住宅ローンの団信・保証債務・確認方法・相続放棄の選択肢・生前にできることを整理します。
相続で引き継ぐ負債の種類

相続では、財産だけでなく次のような負債も引き継ぐことになります。
- 住宅ローン:団体信用生命保険(団信)に加入していれば、死亡時にローンが完済される場合あり
- 消費者ローン・カードローン:相続人が把握していないケースも多く要注意
- 事業用借入金:個人事業主の場合、事業の借入金も相続対象
- 連帯保証債務:他人の借金の連帯保証人になっている場合、その地位も相続される
- 未払いの税金・家賃・医療費:相続財産から支払う義務がある
住宅ローンは相続で消える?

住宅ローンについては、特別な保険の仕組みがあります。
- 団体信用生命保険(団信)に加入していれば、死亡時にローンが完済される:銀行ローンでは団信への加入が義務付けられているケースが多い
- 団信未加入の場合はローンも相続財産として引き継ぐ:フラット35など一部のローンは団信加入が任意のため、未加入の場合は引き継ぎ
- まず金融機関に団信加入の有無を確認:生前に確認しておき、家族に伝えておくことをおすすめ
保証債務の注意点

保証人としての立場も、知らないうちに相続されることがあります。
- 連帯保証人の地位も相続される:故人が誰かの連帯保証人になっていた場合、相続人がその立場を引き継ぐ
- 相続人が知らずに保証人になってしまうケースがある:保証債務は通帳や財産目録からは見えないため、見落とされやすい
- 根保証は将来の債務も引き継ぐ可能性:上限額が定められた包括的な保証の場合、将来発生する債務についても保証を引き継ぐ可能性
- 生前に「どの保証をしているか」を家族に伝えておくことが重要:エンディングノートや財産目録に保証内容を記載
負債・保証の有無を確認する方法
被相続人に借金や保証があるかどうかを確認するには、次の方法があります。
① 信用情報機関への照会
CIC・JICC・全国銀行個人信用情報センターの3機関に照会することで、ローン・クレジットカード・保証の履歴を確認できます。被相続人の相続人のみが手続きできます。
② 郵便物・通帳・書類の確認
被相続人の郵便物・通帳・金融機関からの書類を確認することでも、借入の存在が判明することがあります。
③ 自宅にある契約書類の確認
金庫・引き出しに保管されているローン契約書・保証契約書を確認します。
⚠️ 相続放棄の期限(3か月)は短いため、相続発生後は速やかに財産・負債の調査を始めることが重要です。
相続放棄・限定承認の選択肢

負債が財産を大きく上回る場合は、次の2つの選択肢があります。
① 相続放棄(最もよく使われる)
- 一切の財産と負債を引き継がない
- 相続を知った日から3か月以内に家庭裁判所へ申述
- 各相続人が単独で申述できる
- 放棄すると次の順位の相続人(兄弟姉妹など)に相続が移るため、事前連絡が望ましい
- 全相続人が放棄すると、財産は最終的に国庫へ
② 限定承認(活用ケースは少ない)
- プラスの財産の範囲内でのみ負債を引き継ぐ制度
- 相続人全員の同意が必要
- 手続きが複雑(清算手続きが必要)
- 多くの場合は相続放棄か単純承認(全部引き継ぐ)で対応
使い分けの目安
| 状況 | 選択肢 |
|---|---|
| 負債が財産を明らかに上回る | 相続放棄 |
| 財産と負債の比較が不明 | 限定承認も検討 |
| 財産が負債を上回る | 単純承認(通常の相続) |
📌 相続放棄・限定承認の申述書作成・代理は司法書士・弁護士の業務範囲です。当事務所では、財産・負債調査の段階でサポートし、必要に応じて連携先の司法書士をご紹介します。
生前にできること
負債の問題は、生前の準備によって家族の負担を減らすことができます。
① 借入金・保証の一覧化
負債の内容・残高・金融機関をエンディングノートや財産目録に書き残しておきましょう。
② 不要な保証契約の解消
不要になった保証契約は、生前に解消しておくことが理想的です。連帯保証人の解除には、債権者・主債務者との交渉が必要になります。
③ 団信加入状況の確認
住宅ローンを抱えている場合、団信の加入状況を家族に伝えておきます。
④ 遺言書で意思を伝える
遺言書の付言事項に「○○の負債は△△に返済してほしい」という意思を記載しておくと、家族の指針になります(法的義務ではありません)。
行政書士のサポート範囲
当事務所では、相続放棄申述の手続き自体は対応できませんが、その前段階で次のサポートを行っています。
- 相続財産・負債の調査
- 財産目録の作成
- 遺言書(公正証書遺言)の文案作成
- エンディングノートの作成支援
- 相続放棄が必要な場合の連携先(司法書士)のご紹介
まとめ

相続における負債・保証のポイントを整理します。
- 相続では負債・保証債務も引き継ぐ
- 住宅ローンは団信加入で完済される場合あり(要確認)
- 連帯保証人の地位も相続される(見落としに注意)
- 負債が多い場合は3か月以内に相続放棄を検討
- 限定承認は手続きが複雑で活用ケースは少ない
- 生前に借入・保証の一覧を作っておくと家族の負担が大幅に減る
「負債があって相続が不安」「エンディングノートに何を書けばいいかわからない」という方も、お気軽にご相談ください。
よくある質問
親が保証人になっていた場合、子も保証人になりますか?
はい、連帯保証人の地位は相続されます。相続を承認した場合、相続人は保証債務を引き継ぎます。負債が大きい場合は相続放棄の検討も必要です。手続きは弁護士・司法書士にご相談ください。
相続放棄の期限を過ぎてしまった場合はどうなりますか?
原則として相続を知った日から3か月以内ですが、負債の存在を後から知った場合など例外的に認められるケースもあります。家庭裁判所の個別判断となるため、まず弁護士・司法書士にご相談ください。
財産よりも負債が多い場合、相続はどうすればいいですか?
相続放棄を検討することをおすすめします。3か月以内に家庭裁判所へ申述します。どうするか判断が難しい場合は、まず専門家(弁護士・司法書士)にご相談ください。

