揉めない相続のために行政書士ができること|事前準備と書類整理の重要性

揉めない相続のために行政書士ができること|事前準備と書類整理の重要性

2025年12月1日

揉めない相続のために行政書士ができること― 事前準備と書類整理の重要性 ―

相続の相談を受けていると、多くの方がこう話されます。

「うちは仲がいいから大丈夫だと思っていました」
「まさか、あんなことで揉めるとは思わなかった」

相続トラブルの多くは、特別な家庭だけに起こるものではありません。財産の額の大小にかかわらず、準備不足や情報の不透明さがきっかけで、家族関係が大きく変わってしまうこともあります。

この記事では、相続の専門家の一人である行政書士の立場から、揉めない相続のために現実的にできる支援を整理します。


相続トラブルの多くは「感情」ではなく「準備不足」から始まる

相続でもめる理由として、よく挙げられるのは次のようなものです。
・財産の全体像が分からない
・どんな手続きが必要か分からない
・誰が何を相続するのか決まっていない
・被相続人の意思が不明確
これらはすべて、事前に整理できた可能性がある問題です。相続は法律の問題であると同時に、家族関係・感情・生活に直結する出来事でもあります。

だからこそ、「起きてから対応する」よりも「起きる前に整えておく」ことが、結果的に家族を守ることにつながります。


行政書士が担う役割とは

相続の分野には、司法書士・税理士・弁護士など、さまざまな専門職が関わります。その中で行政書士は主に、
・相続関係説明図の作成
・戸籍収集
・遺産分割協議書の作成
・各種名義変更のための書類整備
といった、相続手続きの土台となる書類と全体整理を担います。争いを解決する立場ではなく、
争いが起きにくい状態をつくるための準備を支える立場とも言えます。


揉めない相続のためにできる3つの現実的な準備

① 財産の見える化

まず大切なのは、「何が、どこに、どれくらいあるのか」を整理することです。預貯金・不動産・有価証券・保険・借入金など、財産の内容が分からないまま相続が始まると、疑念、不信感、勘違いが生まれやすくなります。
一覧表や簡単なメモでも構いません。家族が全体像を把握できる状態をつくることが第一歩です。


② 遺言書による意思表示

遺言書があるかどうかで、相続の進み方は大きく変わります。誰に何を残したいのか。なぜその分け方にしたのか。こうした考えが書面に残っているだけで、相続人同士の受け止め方は大きく違ってきます。

行政書士は、法的に有効な形式で遺言書を作成するための支援や、内容整理のサポートを行います。


③ 遺産分割協議書など書類の整備

相続では、最終的に多くの場面で書面による合意が必要になります。しかし実際には、内容が曖昧、表現が不十分、金融機関で使えないといった理由で、やり直しになるケースが稀にあります。

行政書士は、実際の手続きで使える書類として整える役割を担います。


「専門家に相談すること」自体がトラブル予防になる

相続は、何から始めればよいか分からない、誰に聞けばいいか分からないという状態のまま時間だけが過ぎてしまうことが多い分野です。

早い段階で専門家に相談することで、
・選択肢を知る
・準備の順番が分かる
・不要な誤解を避けられる
といった効果があります。


まとめ

揉めない相続のためには、
・財産の見える化
・遺言書による意思表示
・書類の適切な整備
という「事前の準備」が何より重要です。

行政書士は、その準備を制度と実務の両面から支える存在です。相続はいつ起きるか選べません。
しかし、どう迎えるかは準備することができます。家族の関係を守るためにも、「何も起きていない今」こそ、整える価値があります。

よくある質問

遺贈と相続の違いは何ですか?

相続は法律で定められた相続人が財産を引き継ぐことです。遺贈は遺言書によって相続人以外(または相続人の一部)に財産を与えることです。遺贈を受ける人(受遺者)は相続人でなくてもなれます。

遺贈された財産に税金はかかりますか?

受遺者が相続人でない場合は相続税の2割加算が適用されます。また不動産の遺贈の場合、通常の相続より不動産取得税・登録免許税が高くなることがあります。

遺贈を受ける側は拒否できますか?

はい。遺贈は受遺者が承認・放棄を選択できます。相続開始後、遺贈の放棄はいつでも可能です(遺言執行前であれば)。借金付きの財産などを受け取りたくない場合は放棄できます。

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この記事を書いた人

特定行政書士 入江 紀子

栃木県・宇都宮市に拠点を置く相続・遺言・終活専門の行政書士事務所。難しい法律を分かりやすく伝えることを大切に、地域の方々の「想い」を形にするお手伝いをしています。