【相続人がいない場合、遺言書を書かないと財産は国のものに?その対策と注意点を解説】
「自分には相続人がいないから、遺言書は必要ない」と思っていませんか?
実は、相続人がいない方こそ、遺言書を残しておくことがとても重要です。なぜなら、遺言書がなければ、あなたの大切な財産は国のものになってしまう可能性があるからです。
この記事では、相続人がいない場合の相続の仕組みと、遺言書を活用して“想いある財産の行き先”を決めておく方法を、やさしく解説します。
相続人がいないとどうなる?

相続人がいない場合、相続手続きは次のような流れになります。
- 財産は「特別縁故者(親しい友人や世話をした人など)」が受け取れる可能性がある
- それでも受け取る人がいなければ、最終的に「国庫(国の財産)」に帰属します
つまり、何も手続きをしていないと、あなたの意志とは関係なく、財産は国のものになります。
遺言書があるとどうなる?

遺言書があれば、あなたの意思で「財産を託したい人」や「団体」などを指定することができます。
例えば、以下のような指定が可能です:
- 長年お世話になった知人に預貯金の一部を遺贈
- お世話になった病院や福祉団体へ寄付
- 大切にしていたペットの世話をお願いする人へ、必要な費用を残す
これらは、遺言書があって初めて実現できる内容です。
遺言書の書き方

相続人がいない方の場合、特におすすめなのは「公正証書遺言」です。
■ 理由1:法的な不備がなく、確実に執行される
■ 理由2:原本が公証役場に保管され、紛失や改ざんのリスクがない
■ 理由3:相続人がいないため、遺言執行にトラブルが生じやすく、公証人の関与が安心材料になる
【財産の行き先をどう決めればいい?】

遺言書においては、「誰に、何を、どのように渡すか」を明確に決めることが重要です。
例:
- 知人Aに現金100万円を遺贈する
- 動物保護団体Bに預貯金のうち300万円を寄付する
あわせて、執行を担当する「遺言執行者」を指定しておくことで、スムーズに手続きが進みます。
特別縁故者への財産分与制度
相続人がいない場合、財産は最終的に国庫に帰属しますが、その前に「特別縁故者」に財産を分与する制度があります(民法958条の3)。特別縁故者とは、被相続人と生前に特別な縁故があった方のことで、次のような関係が該当します。
- 被相続人と生計を同じくしていた者(内縁の配偶者・事実上の養子など)
- 被相続人の療養看護に努めた者(長年介護を担ってきた方など)
- その他被相続人と特別の縁故があった者
特別縁故者への財産分与は、家庭裁判所の審判によって認められる仕組みです。相続財産管理人(相続財産清算人)の選任申立てを経たうえで、相続人不存在の確定公告から3ヶ月以内に申立てを行う必要があります。手続き自体は数ヶ月〜1年以上かかることもあり、負担の大きい制度でもあります。
遺贈先を決めるときの考え方
相続人がいないことが分かっている方にとって、遺言書は「誰に財産を届けるか」を自分の意思で決められる大切な手段です。遺贈先を考えるときのポイントをいくつかご紹介します。
個人に遺贈する場合
お世話になった方・親しい知人・甥姪など、身近な方を指定するケースが多くあります。遺言書にはお名前だけでなく住所・続柄も明記し、特定できるように書いておきます。
法人・団体に遺贈する場合
母校・研究機関・社会福祉法人など、ご本人が思い入れのある団体を指定することもできます。遺贈を受け入れているかどうか、事前に団体に確認しておくことが大切です。
地方自治体に遺贈する場合
宇都宮市を含む各自治体では、寄付金を特定の事業に活用する仕組みを整えているところが増えています。ご自身の地元や思い出の土地に貢献したいという方に選ばれています。
寄付・遺贈で税制優遇を受けるには
遺贈先が国・地方公共団体・公益法人などの場合、相続税が非課税になる場合があります(相続税法12条、租税特別措置法70条)。また、遺言執行者による事務処理が必要になるため、信頼できる執行者を指定しておくことも重要です。
具体的な税制の適用範囲や計算方法は税理士の業務範囲となるため、税務面のご相談は税理士へお願いする形になります。当事務所では、遺言書の設計と執行者の検討・文案の作成までをサポートし、必要に応じて税理士と連携して進めています。「自分の財産をどう役立てたいか」を形にしていくお手伝いを、一緒にさせていただければと思います。
当事務所のサポート
- ご希望をヒアリングしながら、遺言内容を整理
- 財産目録や戸籍関係の資料収集
- 公証役場との連絡調整・事前相談の同行
- 証人の手配
※登記や税に関する手続きは、司法書士・税理士などの専門家と連携して対応いたします。
まとめ

相続人がいない方にとって、遺言書は“財産の行き先を自分で決める唯一の方法”です。
元気なうちにしっかりと準備しておくことで、大切にしてきた財産が「想いあるかたち」で未来へ引き継がれていきます。
当事務所では、初めての方でも安心できるよう、やさしく丁寧にサポートしております。お気軽にご相談ください。
▶関連記事
よくある質問
相続人がいない場合、財産はどうなりますか?
相続人がいない(または全員が相続放棄した)場合、財産は最終的に国庫に帰属します。ただし内縁の配偶者など「特別縁故者」への財産分与が認められる場合もあります。
相続人がいない場合でも遺言書を書けますか?
はい。法定相続人がいなくても、遺言書で友人・お世話になった人・NPO・寺社などに財産を遺贈できます。「遺言がなければ国に行く財産」を自分が望む先に残せます。
相続人がいない場合に遺言書で気をつけることは何ですか?
遺贈先を具体的に特定すること(氏名・住所・法人なら法人名)、財産の特定、遺言執行者の指定が重要です。専門家と相談しながら作成することをおすすめします。

