遺言書の中でも、法的効力の確実さと安全性の高さから多くの方に選ばれているのが「公正証書遺言」です。公証人が関与して作成するため形式の不備で無効になる心配がなく、原本が公証役場で半永久的に保管されるため、紛失や改ざんのリスクもありません。
一方で、「費用はいくらかかるの?」「どういう流れで作るの?」「行政書士はどこまでサポートしてくれるの?」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
この記事では、公正証書遺言を作成する際の5つのステップ、公証人手数料の内訳、栃木県内の公証役場の情報、そして公証役場と行政書士それぞれの役割分担について、実務の視点からわかりやすくご案内します。
公正証書遺言の作成の流れ(5ステップ)

公正証書遺言を作成する際の基本的な流れを5つのステップに分けてご説明します。
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STEP1:内容設計
誰に何を残すかを決めます。財産目録(不動産・預金・有価証券・保険など)を整理し、相続人・受遺者と渡す財産を対応させていきます。行政書士に依頼する場合は、この段階からサポートを受けることができます。 -
STEP2:原案作成
遺言書の文面を作成します。法律用語を正確に使い、財産の特定を明確にする必要があります。行政書士が原案を作成し、公証人と事前に調整します。 -
STEP3:公証役場との打合せ
公証役場に原案・必要書類を提出し、公証人と内容を確認します。必要書類には、遺言者の印鑑証明書・戸籍謄本、財産関係書類(不動産の登記事項証明書・預金通帳の写しなど)、相続人・受遺者の戸籍謄本などが含まれます。 -
STEP4:証人2名の確保
公正証書遺言には証人2名が必要です。証人の要件を確認し、適切な人を手配します。行政書士に依頼している場合は証人の手配もサポートできます。 -
STEP5:公証役場で署名・押印
遺言者・証人2名が公証役場に出頭し、公証人が遺言内容を読み上げた後、全員が署名・押印して完成です。遺言者の本人確認(実印+印鑑証明書 または パスポートなど)が必要です。
作成から完成まで通常2〜4週間程度かかります(書類の収集状況・公証役場の混雑状況によって異なります)。
自分で作成する場合との比較

自分で公正証書遺言を作成することも可能ですが、以下の点で専門家へ依頼するメリットがあります。
- 財産の特定の仕方・相続人の記載方法など、法律的に正確な記述ができる
- 公証役場とのやり取りをすべて自分で行う手間が省ける
- 証人の確保が不要(行政書士が手配)
- 必要書類の収集・確認を代行してもらえる
- 遺言内容が将来のトラブルを引き起こさないかをチェックしてもらえる
公正証書遺言の作成費用の内訳
公正証書遺言の作成には、主に次のような費用がかかります。
① 公証役場の手数料
公正証書遺言の公証役場手数料は、財産の価額に応じて以下の通りに定められています(公証人手数料令に基づく)。
| 財産額(各相続人・受遺者ごと) | 手数料 |
|---|---|
| 100万円以下 | 5,000円 |
| 100万円超〜200万円以下 | 7,000円 |
| 200万円超〜500万円以下 | 11,000円 |
| 500万円超〜1,000万円以下 | 17,000円 |
| 1,000万円超〜3,000万円以下 | 23,000円 |
| 3,000万円超〜5,000万円以下 | 29,000円 |
| 5,000万円超〜1億円以下 | 43,000円 |
| 1億円超〜3億円以下 | 43,000円+5,000万円ごとに13,000円加算 |
手数料は相続人・受遺者ごとに計算し、合算します。また、遺言書の枚数が多い場合(4枚超)は1枚ごとに250円が加算されます。なお、全財産を1人に相続させる場合でも、遺言書全体の財産額が1億円以下のときは手数料に11,000円が加算されます(いわゆる「遺言加算」)。
② 証人の手配費用
証人2名を手配する必要があります。ご家族や専門家に依頼する場合で費用は異なります(1名あたり1万〜1万5,000円程度が一般的)。
③ 必要書類の取得費用
戸籍謄本・住民票・印鑑証明書・登記事項証明書・固定資産評価証明書などの取得費用が実費で発生します。
④ 専門家への報酬(任意)
行政書士・弁護士等に文案作成や手配を依頼する場合、別途報酬がかかります。
公正証書遺言が選ばれる理由
自筆証書遺言と比較して費用はかかりますが、公正証書遺言には次のような強みがあります。
- 形式不備による無効リスクがほぼない
- 公証役場が原本を保管(紛失・改ざん防止)
- 相続発生後の検認手続き不要
- 証拠力が高く、争いの予防に有効
- 体調不良時は出張作成も可能
Kanade行政書士事務所では、公正証書遺言の文案作成から公証役場との調整、証人手配までトータルでサポートしています。
栃木県内の公証役場への案内
栃木県内には以下の公証役場があります。宇都宮市にお住まいの方は宇都宮公証センターが最寄りです。
- 宇都宮公証センター:宇都宮市大通り1丁目(宇都宮市役所近く)
- 大田原公証役場:大田原市本町
- 小山公証役場:小山市城山町
- 足利公証役場:足利市通2丁目
各公証役場の詳細(所在地・電話番号・アクセス)については栃木県内の公証役場ガイドをご参照ください。行政書士が公証役場との事前調整を代行することも可能です。
公証役場と行政書士の役割分担
公正証書遺言の作成では、公証役場・行政書士・相続人それぞれに役割があります。
公証役場の役割
- 遺言者の意思を公的に確認する
- 遺言書の文言を法的に整える
- 公正証書として作成・保管する
- 本人確認と証人の立会
行政書士の役割
- 遺言者の意向を整理・ヒアリング
- 財産目録・相続関係の整理
- 遺言書の原案・文案作成
- 必要書類の収集代行
- 公証役場との連絡・日程調整
- 証人としての立会
相続人側の役割
- 遺言内容について理解・尊重
- 相続発生後の手続き実行
行政書士に依頼する場合の費用相場

公正証書遺言の作成を行政書士に依頼した場合の費用相場は以下の通りです(あくまで目安であり、事務所・財産の複雑さによって異なります)。
- 内容設計・ヒアリング・相談料:初回無料〜3万円程度
- 遺言書原案の作成:3〜8万円程度
- 公証役場との連絡調整:上記に含む場合が多い
- 証人の手配(行政書士が証人を担当する場合):1〜2万円程度(2名分)
- 必要書類の取得代行(戸籍・登記事項証明書など):実費+1〜3万円程度
これらを合計すると、行政書士報酬の総額は10〜15万円程度が一般的です。これに公証役場の手数料(財産額に応じた金額)と実費が加わります。
証人は誰でもよいのか
公正証書遺言には証人2名の立会いが必要ですが、誰でも証人になれるわけではありません。以下の人は証人になることができません(民法974条)。
- 未成年者
- 推定相続人(法定相続人になる予定の人)
- 受遺者(遺言で財産をもらう人)とその配偶者・直系血族
- 公証人の配偶者・四親等内の親族・書記・使用人
つまり、遺言書の内容に利害関係のある人は証人になれません。利害関係のない友人・知人に依頼するか、行政書士に証人の手配を依頼するのが一般的です。
まとめ

事前の打ち合わせから作成当日まで、通常2〜4週間程度かかります。必要書類の準備に時間がかかるケースも多く、余裕を持ったスケジュールが大切です。
よくある質問
公正証書遺言の公証役場の手数料はいくらですか?
公証役場の手数料は財産の価額によって異なります。例えば財産総額が1,000万円の場合は概ね1万7,000円程度、3,000万円の場合は概ね2万3,000円程度が目安です(正確な金額は財産の内訳によって変わります)。これに加えて遺言書の枚数に応じた加算や証人への謝礼が必要です。
証人は誰を頼めばよいですか?
公正証書遺言の作成には証人2名が必要です。ただし、相続人・受遺者(遺言で財産をもらう人)とその配偶者・直系血族、未成年者、公証人の配偶者・四親等内の親族などは証人になれません。知人・友人に頼むことも可能ですが、行政書士に依頼する場合は証人の手配もサポートできます。
病気で公証役場に行けない場合はどうすればよいですか?
病院や自宅に公証人が出張して公正証書遺言を作成する「出張公証」制度があります。手数料は通常の1.5倍になります。病気療養中や外出が困難な方でも公正証書遺言の作成が可能です。

