「亡くなった家族に遺言書はあるの?」「もし見つかったらどうすればいい?」――相続手続きの最初のステップとして、必ず確認したいのが「遺言書の有無」です。
遺言書があれば、基本的にその内容に沿って相続手続きを進めます。一方、遺言書がない場合は法定相続人全員での遺産分割協議が必要になり、手続きの流れが大きく変わります。
この記事では、宇都宮・栃木県内の実務をもとに、遺言書の探し方・見つけたときの対応・種類別の取り扱い・よくあるトラブル例までを、わかりやすくお伝えします。
遺言書があるか確認する理由

相続手続きで最初に確認すべきことの一つが、「遺言書が存在するかどうか」です。
- 遺言書があれば、原則としてその内容に従って相続手続きを進める
- 遺言書がなければ、法定相続人全員で遺産分割協議を行う
このように、遺言書の有無で手続きの流れ自体が大きく変わるため、最初の段階で確実に確認することが重要です。
遺言書を確認する手順

ステップ1|家族・親族に確認する
生前に遺言書の話が出ていなかったか、保管場所の心当たりがないかを、家族や親族に確認します。意外と「言われたことがある」というケースは多いものです。
ステップ2|自宅・金庫・貸金庫を確認する
遺言書がよく保管されている場所は次のとおりです。
- 自宅の金庫
- タンスや書類棚
- 銀行の貸金庫
ステップ3|公証役場で「遺言検索」を依頼する
公正証書遺言の場合は、全国の公証役場で「遺言検索システム」を利用して存在確認ができます。被相続人の氏名・生年月日・死亡日がわかれば検索可能です。
ステップ4|法務局で自筆証書遺言の保管確認
2020年7月から始まった「自筆証書遺言書保管制度」を利用していた場合は、法務局で保管されています。相続人は、法務局で「遺言書情報証明書」の交付を請求することで内容を確認できます。
遺言書がある場合のメリット
- 誰がどの財産を取得するかが明確になる
- 相続人同士の話し合い(遺産分割協議)が不要になることがある
- 相続トラブルの予防につながる
✅ 特に「子どもがいない夫婦」や「再婚家庭」など、相続人関係が複雑な場合は、遺言書の存在が非常に重要です。
遺言書の種類と必要な手続き
自筆証書遺言(自宅保管の場合)
- 家庭裁判所で「検認手続き」が必要
- 検認後、相続手続きに進む
※ 「検認」とは? 遺言書の改ざんや紛失を防ぐため、家庭裁判所で内容を公式に確認する手続きです。検認は遺言の有効性を判断するものではない点に注意してください。
自筆証書遺言(法務局保管制度を利用した場合)
- 法務局で「遺言書情報証明書」を取得
- 検認手続きは不要
- そのまま相続手続きに使用可能
公正証書遺言
- 検認手続きは不要
- そのまま相続手続きに使用できる
秘密証書遺言
- 家庭裁判所で検認手続きが必要
- 実務での利用は少ない方式
遺言書をめぐる、よくあるトラブル事例

ケース1|遺言書の存在に気づかず手続きを進めてしまった
事例:遺言書の存在を知らず、法定相続分に基づいて遺産分割協議や名義変更を済ませた後、遺品整理中に遺言書が発見され、すべての手続きをやり直すことに。相続人間の不信感や対立も生じてしまった。
ポイント
- 遺言書がある場合、原則としてその内容が優先される
- 完了した手続きを修正するのは、大変な手間と負担がかかる
✅ 相続手続きに着手する前に、必ず遺言書の有無を確認しましょう。自宅・金庫・貸金庫・公証役場(公正証書遺言検索)・法務局(自筆証書遺言保管)まで、漏れなく当たることが大切です。
ケース2|検認前に遺言書を開封してしまった
事例:相続人の一人が、自宅で見つけた封印された自筆証書遺言を、その場で開封してしまった。家庭裁判所での検認手続きの際に指摘され、事情説明書の提出など余分な時間がかかった。
ポイント
- 封印された自筆証書遺言は、家庭裁判所での検認の場で開封しなければならない(民法1004条)
- 個人で勝手に開封すると、5万円以下の過料(行政罰)が科される可能性がある
✅ 封印された遺言書を見つけたら、絶対に開封せず、そのまま家庭裁判所へ提出しましょう。
ケース3|遺言書の解釈をめぐって相続人間で争いに
事例:自筆証書遺言に「長男に○○を相続させる」とだけ記載されており、「○○」が不動産全体を指すのか、その一部を指すのかで相続人間の解釈が分かれ、争いに発展してしまった。
ポイント
- 自筆証書遺言は内容が曖昧になりやすく、特定が不十分だと解釈の食い違いからトラブルに発展しやすい
- 財産の範囲・名称・所在が明確でないと、争いの種になる
✅ 遺言書を作成する際は、財産の特定を明確に記載することが重要です。書き方に不安がある場合は、専門家への相談をおすすめします。
遺言書がない場合は?
遺言書が見つからなかった場合は、法定相続人全員で遺産分割協議を行い、誰が何を取得するかを話し合いで決めます。協議内容は遺産分割協議書として書面にまとめ、相続人全員の署名・実印で確定させます。
まとめ

相続手続きをスムーズに進めるためには、まず「遺言書があるか」を必ず確認することが大切です。遺言書の有無で、その後の流れが大きく変わるためです。
遺言書を取り扱うときの基本ポイント:
- 手続き前に必ず遺言書の有無を確認する
- 封印された自筆証書遺言は開封せず、そのまま家庭裁判所へ提出する
- 内容が曖昧な場合は、早めに専門家に相談する
こうした基本を押さえることで、トラブルを未然に防ぎ、安心して相続手続きを進められます。Kanade行政書士事務所でも、遺言書の確認から相続手続き全体のサポートまで承っています。
👉 次回:遺言執行とは?相続手続きで重要な役割をわかりやすく解説|宇都宮市【vol.8】
📚 シリーズ目次:相続手続き解説シリーズまとめページ
よくある質問
自筆証書遺言を見つけたら、すぐに開封してもよいですか?
いいえ。封がされている自筆証書遺言は、家庭裁判所での「検認」を受ける前に開封してはいけません。無断で開封すると5万円以下の過料が科される可能性があります。まず家庭裁判所へ検認の申立てをしてください。
公正証書遺言の場合も検認は必要ですか?
不要です。公正証書遺言は公証人が作成した公的書類のため、検認なしにそのまま相続手続きに使えます。法務局の「自筆証書遺言書保管制度」を利用している場合も検認不要です。
遺言書の内容に納得できない相続人がいる場合はどうなりますか?
有効な遺言書がある場合は基本的にその内容で手続きが進みます。ただし遺言書に形式上の不備がある場合や、遺留分を侵害している場合は対応を検討できることがあります。まず専門家にご相談ください。

