相続の準備といえば「遺言書」や「生前贈与」が中心でしたが、近年は「家族信託(民事信託)」が新しい選択肢として注目されています。栃木県でも次のような相談が増えています。
- 認知症による財産凍結を避けたい
- 実家や土地を家族で管理したい
- 家族が安心して相続を迎えられる仕組みをつくりたい
この記事では、家族信託が選ばれる背景・遺言や成年後見との違い・具体的な活用例・専門家のサポート範囲を、わかりやすく解説します。
なぜ今、家族信託が注目されているのか

① 認知症による口座凍結への不安
栃木県でも高齢者比率が年々上昇しています。認知症になると、名義人の判断能力が不十分とみなされ、銀行口座や不動産の売却ができない状態になるケースが多くあります。
家族信託を利用すると、信頼できる家族が「財産管理の代理人」として行動できるため、認知症対策としてのメリットが大きいと言われています。
② 空き家・実家の管理問題が深刻化
栃木県内(宇都宮市・小山市・那須塩原市など)でも空き家問題が増えています。家族信託を使うと、実家の管理・将来の売却・リフォーム費用の支払いなどを柔軟に進めることができます。
③ 「自分の財産を家族に安心して託したい」というニーズの高まり
遺言書だけでは管理や運用までカバーできません。家族信託では、「委託者が元気なうちに、誰がどの財産をどう管理するか」を事前に決めておけるため、相続だけでなく生前からの安心感が高まります。
遺言・成年後見との違い

遺言書との違い
| 項目 | 家族信託 | 遺言書 |
|---|---|---|
| 対応する時期 | 生前〜死後まで | 死後のみ |
| 範囲 | 財産の管理・運用・承継 | 財産の承継のみ |
| 柔軟性 | 高い | 法律形式に厳格 |
→ 管理と承継の両方を扱えるのが家族信託の特徴です。
成年後見制度との違い
| 項目 | 家族信託 | 任意後見・法定後見 |
|---|---|---|
| 管理者 | 家族(受託者) | 後見人(多くは第三者) |
| 裁判所の関与 | ほぼ無し | 厳格に監督 |
| 財産の使い方 | 柔軟 | 限定的・制約が多い |
→ 後見制度より自由度が高く、家族で決めた内容を尊重できるのが特徴です。
栃木県で増えている家族信託の相談例

- 遠方に住む子どもが実家を管理したい
- 認知症予防のため、銀行手続きの不安をなくしたい
- 土地を持つ家族が将来の相続トラブルを避けたい
- 親の不動産・賃貸物件を円滑に引き継ぎたい
行政書士として相談を受けるなかでも、「認知症になる前に準備したい」という声が増えていることを実感します。
家族信託でできることの具体例
例1|自宅と預金の一体管理
父が委託者、長男が受託者、父が受益者の信託。父の判断能力が低下しても、長男が信託契約に基づいて自宅の修繕・売却・預金の管理ができます。父が亡くなった後は、母を受益者とする設計に切り替わるよう契約できます。
例2|収益不動産の承継
賃貸アパートを信託財産にすることで、管理・運営を受託者が継続できます。委託者が判断能力を失っても家賃収入の管理が止まらず、受益者(ご本人・配偶者)の生活費に充てられます。
例3|障がいのある子への生涯支援
障がいのあるお子様を受益者とする信託で、ご両親が亡くなった後も信頼できる家族が財産を管理し、必要な生活費を給付し続ける仕組みを作れます。
家族信託を検討する際のステップ
- 目的の整理:何を守りたいか、どんな将来像を描くか
- 家族との話し合い:受託者となる家族の合意が必要
- 専門家への相談:行政書士・弁護士・司法書士・税理士
- 契約書の作成:目的・財産・関係者を明確に定める
- 公正証書化:契約の証拠力を高めるため公証役場で作成
- 信託登記・口座開設:不動産は司法書士が信託登記を行う
- 運用開始:受託者が契約に基づいて管理を開始
専門家がサポートできること

家族信託は自由度が高い反面、仕組みが複雑で、契約内容にミスがあるとかえってトラブルを招く恐れがあります。専門家は次のような部分をサポートします。
- 家族構成の把握
- 財産の調査・整理
- 信託契約書の作成サポート
- 税理士・司法書士との連携
- 将来の相続に向けた全体設計
単に「家族信託にする」だけではなく、他の制度(遺言・後見・保険・相続税)との組み合わせまで見据えた設計が重要です。
📌 不動産の信託登記は司法書士、税務面は税理士の業務範囲です。行政書士としては信託契約の設計・文案作成・関係者調整までを担います。Kanade行政書士事務所では、信頼できる司法書士・税理士と連携して家族信託の設計をサポートしています。
まとめ|家族の未来を見据えた「新しい相続のかたち」

家族信託は、「相続」だけでなく「生前の財産管理」までカバーできる新しい備え方です。栃木県内でも、認知症対策や空き家管理、賃貸不動産の承継など、さまざまな場面で活用が広がっています。
意識したいポイント:
- 家族信託は「生前の管理」から「死後の承継」までを一括で設計できる
- 遺言書・成年後見との違いを理解し、目的に応じて組み合わせる
- 契約設計には専門家の関与が不可欠(複数士業の連携)
- 「認知症になる前」の元気なうちに動き出すのが理想
宇都宮市・栃木県で家族信託をご検討の方は、お気軽にご相談ください。
よくある質問
行政書士に相続相談をするメリットは何ですか?
弁護士・司法書士より費用が低く、相続手続きの一般的な流れ(戸籍収集・協議書作成・金融機関手続き)をトータルでサポートしてもらえます。身近に相談できる存在として活用できます。
行政書士に相談した場合、弁護士や司法書士に切り替える必要がありますか?
相続争いが発生した場合(弁護士の領域)や不動産の名義変更(司法書士の領域)が必要な場合は、連携する専門家に引き継ぎます。最初に行政書士に相談して、必要に応じて他士業と連携する流れが効率的です。
初回相談は無料ですか?
Kanade行政書士事務所では初回60分の相談を無料で承っています。まずはお気軽にご連絡ください。

