葬儀・納骨が終わったあとも、相続手続きは続きます。年金や健康保険の届出、銀行・不動産の名義変更など、やるべきことは多岐にわたります。さらに最近では「デジタル遺産」という新しい課題も浮上してきました。
この記事では、相続後に必要な各種届出と、宇都宮市の「おくやみコーナー」の活用、そして見落としがちなデジタル遺産の整理について、わかりやすく整理してお伝えします。
相続後に必要な各種届出

葬儀・納骨が終わったあとも、さまざまな「届出」や「整理手続き」が必要です。手続きを忘れると後でトラブルになったり、余計な費用負担が発生することもあります。
主な届出・整理項目
| 内容 | 手続き先 |
|---|---|
| 年金の受給停止・未支給年金の請求 | 日本年金機構(年金事務所) |
| 健康保険・介護保険の資格喪失届 | 市区町村役場 |
| 住民票・戸籍の届出 | 市区町村役場 |
| 所得税の準確定申告 | 税務署 |
| 相続税の申告・納付(必要な場合) | 税務署 |
| 銀行口座の解約・名義変更 | 各金融機関 |
| 不動産の相続登記 | 法務局 |
| 自動車の相続名義変更 | 運輸支局/軽自動車検査協会 |
✅ それぞれ「期限があるもの」と「できるだけ早く進めたほうがよいもの」があります。手続き先や必要書類が幅広いため、抜け漏れがないように整理することが大切です。
宇都宮市の「おくやみコーナー」を活用しよう

栃木県宇都宮市では、2025年2月3日より、死亡後の各種手続きをサポートする「おくやみコーナー」を開設しています。遺族の手続き負担を軽減するための予約制窓口です。
おくやみコーナーとは?
故人が宇都宮市に住民登録をしていた場合に、遺族が必要な手続きを円滑に進められるよう支援する窓口です。死亡届提出後、戸籍や住民票に死亡の事実が記載されるまでに時間がかかるため、死亡届提出後、約2週間経過してからの予約が推奨されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 開設時間 | 平日 8:30〜17:15 |
| 休業日 | 土日祝日・年末年始 |
| 利用対象 | 故人が宇都宮市に住民登録をしていた遺族 |
| 予約方法 | 完全予約制(来所希望日の4営業日前までに予約) |
| 予約窓口 | 宇都宮市公式サイト「おくやみコーナーのご案内」ページから |
| お問い合わせ | 市民まちづくり部 市民課(028-632-2263) |
併せて活用したい「おくやみガイドブック」
宇都宮市では、各種手続きを一覧化した「おくやみガイドブック」も配布しています。市役所や各支所窓口で受け取れるほか、市公式サイトからもダウンロードできます。何から手をつけるべきか迷ったときの心強い味方になります。
新たな課題「デジタル遺産」の整理

近年、スマートフォンやPCを通じて多くの人が利用しているオンラインサービス。その中で生まれたデータや契約・財産は「デジタル遺産」と呼ばれ、相続や遺品整理において新たな課題となっています。
「通帳も見当たらないし、遺族には何もわからなかった…」と見落とされがちで、相続手続きの中でも「見えない資産」と言われています。
デジタル遺産の主な種類
| 種類 | 具体例 |
|---|---|
| ネット銀行口座 | 楽天銀行、住信SBIネット銀行、イオン銀行 など |
| ネット証券口座 | 楽天証券、SBI証券、松井証券、auカブコム証券、マネックス証券 など |
| キャッシュレス決済 | PayPay、楽天ペイ、d払い、LINE Pay など |
| サブスクリプション | Netflix、Amazon Prime、Apple Music、YouTube Premium など |
| SNSアカウント | Facebook、Instagram、X(旧Twitter)、LINE など |
| 暗号資産(仮想通貨) | ビットコイン、イーサリアム など(取引所に口座がある場合) |
ネット銀行・ネット証券は特に要注意
ネット銀行(例:楽天銀行、住信SBIネット銀行、イオン銀行など)は通帳が存在せず、すべてがオンライン管理のため、家族が存在に気づかないまま放置されるリスクがあります。相続手続きでは、金融機関への死亡連絡・必要書類の提出・払戻しや名義変更が必要です。
ネット証券(例:楽天証券、SBI証券、松井証券、マネックス証券など)も同様に、株式・投資信託・現金残高といった資産がオンライン上でのみ確認できるため、見落とされがちです。
デジタル遺産でよくあるトラブル
- 支払いが続いていた:サブスクやクラウド利用料など、家族が気づかないまま口座引き落としが継続
- 解約ができない:本人以外のログインができず、カスタマーサポートでも対応してもらえない
- 資産を失った:暗号資産の口座にアクセスできず、パスワードが不明なため資産を引き出せない
📌 「パスワードがわからない」「存在自体を知らなかった」という声は多く、手続きが大幅に遅れるだけでなく、最悪の場合は完全に失われてしまうこともあります。
デジタル遺産の整理|基本的な流れ
- 利用サービスの洗い出し:メール、スマホ、ブラウザの履歴などから、利用していたネットサービスを把握する
- 解約手続き・削除申請:サブスクやSNSはそれぞれの手順に従って停止・削除(SNSによっては追悼モードや凍結依頼が必要)
- 資産があるものは相続手続きへ:ネット銀行や暗号資産は、遺産分割協議書や戸籍を添えて所定の手続きを行う
- ログイン情報の調査と整理:パスワード管理アプリ・紙のメモ・遺品の中の端末から手がかりを探す
生前にできるデジタル遺産対策

デジタル遺産対策は、生前のうちから始めておくのが理想です。「見えない資産」を見える化しておくことで、ご家族の負担を大きく減らせます。
デジタル遺産ノートをつくる
利用しているサービス・アカウント・パスワードのヒントなどを一覧にまとめた「デジタル遺産ノート」を作成しておきましょう。エンディングノートの一部として作るのもおすすめです。
必要な情報を家族と共有する
- 家族に最低限「何を使っているか」だけでも伝えておく
- 特にネット銀行・暗号資産・スマホのロック解除パスワードは要注意
定期的に見直す
サービスの解約や追加、パスワード変更があるたびに、ノートを更新します。年に1回など、見直しのタイミングを決めておくと続けやすくなります。
まとめ

これからの時代、財産は「紙や通帳だけではなく、データの中にも存在する」ものになりました。デジタル遺産の整理と対策は、単なる事務手続きではなく、遺された家族に余計な負担やトラブルをかけないための、前向きな終活のひとつです。
相続手続きを「締めくくる」段階で意識したい3つのポイント:
- 各種届出(年金・健康保険・税務署・金融機関・法務局など)を漏れなく進める
- 宇都宮市にお住まいなら「おくやみコーナー」「おくやみガイドブック」を活用する
- デジタル遺産は、生前からの整理・記録が最大のトラブル予防になる
Kanade行政書士事務所でも、相続後の各種届出やデジタル遺産整理に関するご相談を承っています。
📚 シリーズ目次:相続手続き解説シリーズまとめページ
よくある質問
デジタル遺産(ネット銀行・ネット証券)はどうやって調べればよいですか?
故人のスマートフォン・通帳・メールの受信履歴・郵便物を手がかりにします。金融機関からの明細や通知があれば口座の存在を確認できます。見落とすと財産が放置されるリスクがあるため、早めに確認しましょう。
亡くなった人のSNSアカウントはどうすればよいですか?
各サービスの規約により対応が異なります。Facebookは「追悼アカウント」への移行または削除申請ができます。Instagram・Xなども遺族による削除申請が可能です。放置すると不正利用のリスクもあるため、早めに各サービスへ問い合わせましょう。
公共料金(電気・ガス・水道)の名義変更はいつまでにすればよいですか?
法律上の期限はありませんが、引き続き使用する場合は速やかに名義変更の手続きをしましょう。解約の場合も各社へ連絡が必要です。電話または各社ウェブサイトで手続きでき、死亡を確認できる書類の提示を求められることがあります。

