ご相談の背景

相談者は70代女性(仮名:山田様)。栃木県内に一人で暮らしており、ご主人はすでに他界、子どもはなく、兄弟は遠方に住む高齢の妹のみという状況でした。
友人から「死後事務委任契約というものがある」と聞き、気になってご来所されました。山田様のご不安は「自分が亡くなったときに誰も気づかないのではないか」「病院や施設への支払いを誰がしてくれるのか」「葬儀は誰が手配するのか」「家の片づけはどうなるのか」という4点に集約されました。
任意後見については「まだ元気なので今は不要」とのご意向で、死後事務委任契約に絞ってご相談いただきました。
手続きの流れ

ご相談から契約書の締結まで約6週間かかりました。当事務所が担当した主な業務は以下のとおりです。
- 委任内容の整理(面談2回):「何を誰に任せるか」を具体的に決めていきました。山田様の場合、①死亡の確認・関係者への連絡、②葬儀・火葬の手配(生前に希望を確認)、③入院・施設費用の精算、④公共料金・各種契約の解約、⑤遺品整理・居室の明け渡し、⑥行政への届出(年金・健康保険など)の6項目を委任内容としました。

- 費用・預託金の確認:死後事務の実費(葬儀費用・遺品整理費用など)に充てるための預託金の金額を一緒に試算しました。なお、預託金の管理方法・返還条件についても契約書に明記しました。
- 死後事務委任契約書の作成:委任内容・委任報酬・預託金額・契約解除条件などを定めた契約書を当事務所が作成。公証役場での公正証書化についてもご説明し、山田様のご希望で公正証書として作成しました。
- 遺言書の作成(任意):死後事務委任契約だけでは遺産の行方は決まりません。山田様はご自身の財産を「妹と福祉団体に遺贈したい」とのご意向があったため、公正証書遺言も合わせて作成しました。
手続きのポイント

また、死後事務委任契約と遺言書の両方を作成することで「誰が何をするか(死後事務)」と「財産をどう分けるか(遺言)」の両方が明確になります。どちらか一方だけでは手続きに支障が出ることもあるため、セットでのご相談をおすすめしています。
相続税については財産総額によって変わりますので、遺贈がある場合は税理士にご相談ください。
同じ状況の方へ

また、死後事務委任契約は「任意後見契約」や「見守り契約」と組み合わせることで、生前から亡くなった後まで一連の流れをカバーすることができます。おひとりさまの方、子のいないご夫婦の方は、ぜひ一度ご相談ください。
Kanade行政書士事務所では、初回60分の無料相談を実施しています。「何から始めればいいかわからない」という段階から、丁寧にご対応します。
おひとりさまが直面する「もしもの後」の課題
配偶者やお子様がいらっしゃらない、いわゆる「おひとりさま」が増えています。こうした方にとって、ご自身が亡くなった後の手続きを誰に任せるかは大きな悩みです。具体的には以下のような場面で困ることが想定されます。
- 亡くなった事実を誰が見つけてくれるか
- 葬儀の手配を誰が行うか
- 家の片付け・賃貸契約の解約・公共料金の停止
- ペットの引き取り
- 友人・知人への連絡
- デジタル資産の整理(SNS・サブスクなど)
これらは法定相続人がいれば自然に行われますが、相続人がいない場合や遠縁しかいない場合、放置されてしまうリスクがあります。
死後事務委任契約とは
死後事務委任契約は、ご本人が亡くなった後の事務手続きを、信頼できる第三者に委託する契約です。委任できる内容は幅広く、次のようなことをお願いできます。
- 死亡届の提出
- 葬儀・火葬・納骨の手配
- 遺品整理・自宅の片付け
- 賃貸契約の解約・敷金返還手続き
- 各種契約(電気・ガス・水道・携帯電話)の解約
- 役所・年金の手続き
- SNSアカウントの削除
- 関係者への連絡
- ペットの引き取り先への連絡
受任者には、行政書士などの専門家を指定することも、信頼できる知人を指定することもできます。内容に応じた報酬を契約書で定めておきます。
ご紹介した事例の概要
このご相談は、70代のおひとりさまから「万が一のとき、どうなるのか不安」というお声をいただいたことがきっかけでした。遠縁の甥姪はいるものの連絡もほとんど取らない状況で、「家族に迷惑をかけたくない」というのがご本人の強い希望でした。
打ち合わせを重ね、以下の内容で死後事務委任契約を作成しました。
- 受任者:当事務所
- 委任事項:葬儀・火葬・遺品整理・各種契約の解約・連絡業務
- 報酬:事前に預り金として口座に用意
- 連絡先リスト:万が一の際に連絡してほしい友人・甥姪
- 葬儀の希望:家族葬・樹木葬
あわせて、見守りサービスの導入と、定期的な安否確認の体制も整備しました。ご本人は「これで安心して暮らせる」と笑顔でおっしゃっていました。
死後事務委任契約を検討されている方へ

死後事務委任契約は、おひとりさまだけでなく、「家族に負担をかけたくない」と考える方にも広く選ばれています。遺言書・任意後見契約とあわせて「終活3点セット」として準備されるケースも増えています。
Kanade行政書士事務所では、死後事務委任契約の作成から契約後の定期面談・見守り体制の設計までをお手伝いしています。「どんなことを委任できるのか詳しく知りたい」という段階からお気軽にご相談ください。
※本事例は実際のご相談を参考に、個人情報を変更・匿名化したものです。


