「自分が亡くなったら財産はどうなるのか」――おひとりさまにとって、相続人が誰になるかを知っておくことは、生前対策を考える出発点になります。
本記事では、おひとりさまの場合の法定相続人の決まり方・ケース別の相続人・相続人がいない場合のリスク・遺言書と死後事務委任契約の備え方を整理します。
法定相続人の優先順位(基本)

民法では、相続人になれる人とその優先順位が定められています。
- 配偶者:常に相続人になります(おひとりさまには配偶者はいない前提)
- 第1順位:子(いない場合は孫・ひ孫):子が先に亡くなっている場合は孫・ひ孫が代襲相続人となる
- 第2順位:父母・祖父母(直系尊属):第1順位がいない場合に相続人になる。父母が亡くなっていれば祖父母
- 第3順位:兄弟姉妹(いない場合は甥・姪):第1・第2順位がいない場合に相続人になる。兄弟姉妹が亡くなっていれば甥・姪が代襲相続(1代限り)
おひとりさまのケース別相続人

おひとりさまの場合、状況によって相続人が大きく異なります。
| 状況 | 相続人になる人 |
|---|---|
| 親が健在 | 父母 |
| 親が亡くなり、兄弟姉妹がいる | 兄弟姉妹 |
| 兄弟姉妹も亡くなっている | 甥・姪(代襲相続) |
| すべての法定相続人がいない | 相続人不存在 → 最終的に国庫帰属 |
⚠️ 内縁のパートナーは相続人にならない
どれだけ長く一緒に暮らしていても、法的に婚姻届を出していない内縁のパートナーには相続権がありません。財産を渡すには遺言書が唯一の手段です。
相続人がいない・少ない場合のリスク

相続人がいないまま亡くなった場合、いくつかのリスクが生じます。
- 財産が国に渡ってしまう:法定相続人が誰もいない場合、財産は最終的に国庫に帰属
- 死後の手続きをしてくれる人がいない:相続人がいなければ、誰が遺品整理や各種解約手続きを行うかが問題になる
- 葬儀・遺品整理の担い手がいない:家族がいない場合、葬儀の手配や遺品の処分をする人が見つからないことがある
たとえば、独身で親も兄弟姉妹もすでに亡くなっていて甥・姪もいない場合は、相続人が誰もいない状態になります。この場合、特別縁故者(生前に深く関わっていた人)が家庭裁判所に申立てをすれば財産の一部を受け取れる場合がありますが、申立て期間や要件が厳しく、認められるとは限りません。
遺言書で財産の行き先を決める

相続人がいない、あるいは少ない場合でも、遺言書を作成しておくことで財産の行き先を自分で決めることができます。おひとりさまにとって、遺言書は最も重要な生前対策の一つです。
おひとりさまが遺言書を書くべき3つの理由
- 法定相続人以外(友人・お世話になった施設など)に財産を渡したい場合、遺言書がなければ財産を渡せない
- 疎遠な兄弟姉妹や甥・姪が相続人になることを防ぎたい場合に有効
- 社会貢献のために寄付・遺贈したい(NPO・母校・公益団体など)場合も遺言書が必要
公正証書遺言が最も確実
公正証書遺言は公証人が関与するため、最も確実な方法として広く利用されています。家庭裁判所での検認も不要です。自筆証書遺言を選ぶ場合は、法務局の自筆証書遺言書保管制度の活用がおすすめです。
死後事務委任契約との組み合わせ
遺言書は「財産の行き先」を決めるものですが、亡くなった後の手続きを誰かに任せるには死後事務委任契約が必要です。
死後事務委任契約でカバーできる内容
- 葬儀・火葬の手配
- 病院・施設への支払い
- 各種解約手続き(電気・ガス・水道・電話・サブスクなど)
- 家財の処分
- 行政への届出
- SNS・ネットアカウントの整理
死後事務委任契約を締結しておくことで、葬儀・施設の退去・各種解約などを信頼できる人や専門家に任せられます。
おひとりさまの「3点セット」
おひとりさまの生前対策では、次の3つの契約・書類を組み合わせるのが基本です。
| 制度 | カバー範囲 |
|---|---|
| 任意後見契約 | 判断能力が低下した後の財産管理・身上監護 |
| 死後事務委任契約 | 死亡後の葬儀・行政手続き・遺品整理など |
| 遺言書(公正証書遺言) | 死亡後の財産の行き先 |
3つを組み合わせることで、判断能力低下→死亡→死後の手続き→財産の行き先を切れ目なくカバーできます。
行政書士のサポート範囲
当事務所では、おひとりさまの次の書類作成・契約サポートを行っています。
- 遺言書(公正証書遺言)の文案作成・公証役場との調整
- 死後事務委任契約書の作成
- 任意後見契約書の作成
- 財産管理等委任契約書の作成
📌 「身寄りがなくて不安」「自分の死後のことが心配」という段階でのご相談を歓迎しています。初回60分無料でご対応しています。
まとめ

おひとりさまの相続のポイントを整理します。
- 法定相続人は順位順(子→父母→兄弟姉妹→甥姪)で決まる
- すべての法定相続人がいなければ、財産は最終的に国庫帰属
- 内縁パートナーには相続権がない
- 遺言書があれば、相続人以外(友人・団体・NPOなど)にも財産を渡せる
- 遺言書+死後事務委任契約+任意後見契約の3点セットで備える
おひとりさまの相続・終活対策は、できるだけ早く取り組むことが大切です。法定相続人がいない場合、遺言書がなければ財産は国庫に帰属してしまいます。自分の財産を望む形で活用するためにも、お気軽にご相談ください。
よくある質問
子も兄弟もいない場合、財産は誰に渡りますか?
法定相続人が誰もいない場合、財産は最終的に国庫に帰属します。ただし、遺言書で特定の人や団体に遺贈することができます。大切な財産を意思通りに渡すために、遺言書の作成をおすすめします。
内縁のパートナーに財産を渡すことはできますか?
内縁パートナーには法定相続権がありませんが、遺言書で「遺贈する」と明記することで財産を渡すことができます。当事務所では遺言書の作成をサポートしています。
おひとりさまの相続手続きは誰がやってくれますか?
相続人がいれば相続人が行います。相続人がいない場合は、家庭裁判所が選任した相続財産清算人が手続きを行います。死後事務委任契約を締結しておくと、亡くなった後の手続きを信頼できる人に任せられます。

