「再婚と相続」シリーズ|第1回(全5回)
栃木県宇都宮市のKanade(かなで)行政書士事務所です。
今回から新シリーズとして、「再婚と相続」について、実際に寄せられるご相談をもとにお届けします。
第1回のテーマは、「前妻に子どもがいる場合の相続」です。
「夫が再婚で、前妻との間に子どもがいるのですが相続ってどうなるんでしょうか…?」
「今の家族の生活が守られるのか心配です。」
このようなご相談は、宇都宮でも非常に多くいただくようになりました。今回は、前妻に子どもがいる場合の相続で注意すべきことを、わかりやすく解説いたします。
前妻に子どもがいると、相続はどうなる?

まず、法律上のポイントを整理しておきましょう。
再婚後、夫が亡くなった場合、その法定相続人は次のようになります
・現在の配偶者(あなた)
・前妻との間の子ども(血のつながりがある子ども)
このときの相続分は、
・配偶者:1/2
・前妻の子ども(1人の場合):1/2
となります。
仮に前妻との間に2人子どもがいれば、配偶者が1/2、2人の子が1/4ずつになります。
つまり、現配偶者がいても、すべての財産を相続できるわけではないということ。また、「前妻の子と直接の交流がない」などの事情があっても、法的な相続権は変わりません。
| 相続人構成 | 配偶者の相続分 | 子どもの相続分 |
|---|---|---|
| 前妻の子が1人いる場合 | 1/2 | 1/2(前妻の子1人) |
| 前妻の子が2人いる場合 | 1/2 | 各1/4(前妻の子2人で1/2を分ける) |
前妻の子が相続人となる場合の基本
前妻との間に子がいる場合、その子は現配偶者やその子と同じく、法定相続人としての相続権を持ちます。戸籍上は正式な実子であり、離婚しても親子関係は切れないため、相続権は継続します。
主なポイントを整理します。
- 前妻の子も法定相続人(実子として)
- 現配偶者と前妻の子が共同相続人になる
- 前妻の子にも遺留分がある
- 遺産分割協議に前妻の子の参加が必要
- 長年連絡がない場合でも相続権は消えない
前妻の子との関係での注意点
前妻の子が相続人となるケースでは、次のような注意点があります。
① 連絡先の把握が必要
長年交流がない場合、連絡先を探すところから始まります。戸籍の附票から現住所を追跡できますが、時間がかかることも。
② 心理的な壁がある
現配偶者から見ると「夫の前妻の子」で、接点がないケースが多いものです。相続の話題は感情的に扱いにくい面があります。
③ 遺留分の問題
前妻の子にも遺留分があるため、現配偶者に全財産を残す設計には注意が必要です。
④ 協議の長期化リスク
連絡・協議に時間がかかり、相続税申告期限に影響することも。
前妻の子がいる場合の相続手続き
前妻の子がいる場合の相続手続きは、次のような流れで進みます。
- 被相続人の戸籍を収集し、相続人を確定
- 前妻の子の現住所を戸籍附票から特定
- 連絡・経緯の説明
- 財産内容の共有
- 遺産分割協議
- 協議書の作成・署名
- 各種名義変更
連絡から協議成立まで、半年以上かかることも珍しくありません。
事前の備えで配慮できること
前妻の子がいる場合の相続トラブルを予防するために、次のような備えが有効です。
① 遺言書の作成
配分を明示することで、協議を簡略化できます。遺留分を踏まえた配分設計がポイントです。
② 連絡先情報の整理
前妻の子と定期的に連絡を取っている場合は、その連絡先を家族に共有しておきます。
③ 付言事項で想いを伝える
前妻の子への感謝や、配分の理由を付言事項で説明することで、感情的な対立を防ぎやすくなります。
④ 専門家への相談
早い段階で専門家に相談し、バランスの取れた設計を考えます。
⑤ 生命保険の活用
受取人指定により、特定の家族に確実に現金を届けることができます。
宇都宮で実際にあったご相談事例

ケース①|「前妻の子が相続人になるなんて…」
ご相談者:60代女性(再婚20年、夫に前妻の子どもが1人)
「夫が亡くなって、いざ相続の話になったら、前妻の子に半分渡さないといけないと知って驚きました…。ずっと一緒に暮らしてきたのは私なのに…。」
20年間、夫と共に築いた生活。けれどいざ相続が発生したとき相続人は「現在の配偶者」と「前妻の子ども」であることが法律上のルール。このケースでは、夫名義の財産(預金や自宅など)が大半を占めており、妻の生活費や住居の確保が大きな課題となりました。
特に問題となったのが、不動産の名義変更。配偶者が住み続けたいと思っても、「名義を自分に変える」には、相続人全員の同意が必要です。今回は公正証書遺言がなかったため、前妻の子どもと連絡を取り、遺産分割協議を行う必要がありました。
▼ポイント解説
・法律上、実子であれば、婚姻の相手が誰であっても相続人になります
・交流の有無や同居年数にかかわらず、前婚の子にも法的な権利がある
・財産の名義が全て亡くなった方にあると、現配偶者の生活に影響が出やすい
ケース②|「連絡先が分からない相続人がいて困った…」
ご相談者:50代男性(再婚10年目)
「妻が亡くなったのですが、前の夫との子どもが相続人になると知らず、どこにいるのかも分かりません。」
このケースでは、亡くなった方が再婚前に生んだ子どもが行方不明の状態。こうした場合、まずは戸籍をたどって相続人を特定する調査から始める必要があります。相続人が遠方に住んでいたり、海外にいる場合、以下のような手続き上のハードルも発生します。
・現地からの戸籍や住民票などの取り寄せ
・郵送や認証のための追加費用や時間
・相続書類への署名・押印の取り付け
結果として、相続手続きに何か月もかかってしまうこともあります。
▼ポイント解説
・相続人の居場所が分からない場合でも、法律上は「相続人」としての権利が存在する
・戸籍の収集や住所調査は、専門家に依頼することでスムーズに
・書類のやり取りは、公的証明や本人確認が必要なため慎重な対応が求められる
▽事前にできる対策とは?
これらのケースに共通するのは、「亡くなる前に準備がされていなかったこと」によるトラブルです。特に、公正証書遺言を作成しておくことで、配偶者の生活を守る意思を明確にすることが可能になる場合があります。
前妻に子どもがいる場合の相続、3つの重要ポイント

① 相続人の範囲を正確に把握する
・「前妻の子も相続人になる」は原則
・現配偶者とその子ども(配偶者の連れ子で、養子縁組をしていない場合)は相続人にならないケースも
詳しくは 子どもがいない相続はどう進める?3つの重要ポイント|宇都宮市【子どもなし相続vol.5】 にて解説しています。
② 感情的な対立に備えて、事前に準備を
・「知らない人と遺産を分ける」ことへの抵抗感は強い
・トラブルの多くは、遺言書の有無で防げたケース
③ 遺言書の活用で「希望」をかたちに
・公正証書遺言で、配偶者に多めに残すことが可能
・遺留分(前妻の子どもに最低限残さなければならない割合)は考慮が必要
宇都宮市で公正証書遺言を考えたら|手続きとサポート内容を解説【遺言教室vol.10】
Kanade行政書士事務所では、遺言書の作成も丁寧にサポートしております。
当事務所のサポート内容

・戸籍調査と相続人の確定
・相続関係説明図・法定相続情報一覧図の作成
・遺産分割協議書の文案作成
・公正証書遺言の作成支援(公証役場とのやり取りも対応)
・他士業(司法書士・税理士)との連携でワンストップ対応
「誰が相続人なのかすら分からない」「前妻の子どもとどう関わればいいか不安」そうしたお悩みを、法律と気持ちの両面からサポートするのが行政書士の役割です。
最後に|再婚家庭だからこそ、安心できる相続準備を

再婚家庭の相続では、「法的には正しいけど、感情的に納得できない」という場面が多くあります。配偶者も、前妻の子どもも、それぞれに立場があります。
Kanade(かなで)行政書士事務所では、相続人それぞれの状況に配慮しながら、円滑な手続きと安心できる未来の準備をお手伝いしています。「これって相談していいのかな…」という段階からでも構いません。
どうぞ、お気軽にご相談ください。
よくある質問
前婚の子は現在の家族の相続においてどんな立場ですか?
法定相続人として、現在の配偶者や子どもと同等の相続権を持ちます。前婚の子が存在する場合は必ず遺産分割協議に参加してもらう必要があります。
前婚の子への相続を最小限にする方法はありますか?
遺言書で現在の家族に多く残すことは可能ですが、前婚の子にも遺留分(法定相続分の1/2)があります。遺留分を侵害する遺言を作成しても、後に遺留分侵害額請求をされるリスクがあります。
前婚の子と現在の家族の相続トラブルを防ぐには?
遺言書で財産の配分を明確にすること、生前に当事者間でコミュニケーションをとることが有効です。複雑な家族構成では行政書士などの専門家を交えた調整が助けになります。

