「自分が亡くなった後、誰が手続きを進めてくれるのだろう」という問いに、明確な答えを持っていますか?漠然と「家族がやってくれるだろう」「誰かが何とかするだろう」と思っている方も多いかもしれません。しかし、それは事前に決めておかなければ実現しないことです。
本記事では、死後の手続きを「誰に任せるか」という考え方と、死後事務委任契約の活用方法を、宇都宮市のKanade行政書士事務所が解説します。
死後に誰かがやらなければならないこと

人が亡くなると、感情的な悲しみとは別に、多くの実務手続きが発生します。これらは「誰かが」やらなければなりません。
- 死亡届の提出(7日以内)
- 葬儀・火葬の手配と執行
- 年金・健康保険の停止手続き
- 賃貸住宅の解約・荷物の処理
- 電気・ガス・水道・通信などの解約
- クレジットカード・サブスクリプションの解約
- 銀行口座の凍結・解約(相続手続きと連動)
- 不動産の相続登記(司法書士が担当)
- 相続税の申告(税理士が担当)
- 遺品整理
- SNSアカウントの削除・デジタル遺産の処理
- 知人・友人への訃報連絡
これらは数日〜数ヶ月にわたって発生する手続きです。悲しみの中でこれらを進めることは、家族にとっても大きな負担となります。
「誰に任せるか」の選択肢

死後事務を誰に任せるかについて、主な選択肢を整理します。
① 家族・親族
最も一般的な選択肢です。配偶者・子ども・兄弟姉妹などが担うケースが多いです。ただし、家族がいない・遠方・高齢・疎遠などの場合は難しくなります。
② 友人・知人
信頼できる友人に頼む場合もあります。しかし、専門知識がなく手続きに時間がかかること・友人自身の体力的・時間的な負担が大きいことなどの課題があります。
③ 行政書士
死後事務委任契約の受任者として、葬儀の手配・各種解約・行政への届出などを担当できます。書類作成・官公署手続きに精通しており、迅速・確実に対応できます。
④ 司法書士
死後事務の受任が可能です。不動産の相続登記(登記は司法書士の専権事項)が含まれる場合や、成年後見が関係する場合は司法書士の関与が重要です。
⑤ 弁護士
相続トラブルが見込まれる場合・後見申立てが必要な場合・法的な問題が複雑な場合は弁護士への相談が適切です。
⑥ NPO法人・社会福祉法人
非営利の法人が死後事務を含む生活支援・終活支援をパッケージで提供している場合があります。
家族に任せる場合のリスクと対策

「家族に任せれば大丈夫」という前提には、いくつかのリスクが潜んでいます。
遠方に住んでいるリスク
子どもが遠方に住んでいる場合、亡くなった直後から短期間で多くの手続きを進めることは現実的に困難です。仕事を休んで地元に帰ってくることへの精神的・経済的な負担も生じます。
家族が高齢のリスク
配偶者が高齢の場合、悲しみの中で複雑な手続きを一人でこなすことは困難です。子どもの支援も必要になります。
精神的な負担
身近な人を亡くした悲しみの中で、複雑な実務手続きをこなすことは心理的な負担が大きいです。
相続人間の争いリスク
複数の相続人がいる場合、遺産分割でもめることがあります。遺言書がなければ全員の合意が必要な遺産分割協議が必要となります。
これらのリスクへの対策として、遺言書・死後事務委任契約・任意後見契約の3点を準備しておくことが有効です。
専門家(行政書士・司法書士)に任せるメリット

死後事務を行政書士・司法書士などの専門家に任せることには、以下のメリットがあります。
- 中立性:相続人間の利害関係から独立した立場で手続きを進められるため、トラブルになりにくい
- 確実性:手続きのミスや抜け漏れなく、期限どおりに進められる
- 法的知識:各種手続きに関する知識・経験により、スムーズに対応できる
- 家族の負担軽減:家族が手続きの心配をせずに悲しみに向き合える時間ができる
- 継続的なサポート:見守り契約・任意後見契約と組み合わせることで、生前から死後まで一貫した対応が可能
特に不動産の相続登記については司法書士への依頼が必要であり、相続税の申告については税理士への依頼が必要です。それぞれの専門家の役割を理解したうえで、適切な連携を取ることが重要です。
死後事務委任契約で事前に決めておけること
死後事務委任契約を締結することで、事前に以下の事項を決めておくことができます。
- 受任者(誰に任せるか)
- 葬儀の方式・規模・場所(一般葬・家族葬・直葬など)
- 遺骨の処理方法(埋葬場所・散骨の希望など)
- 解約すべき各種契約の一覧と対応方法
- 遺品整理の方法・依頼業者
- 訃報連絡する人の一覧
- 受任者への報酬の額と支払い方法
これらを生前に文書化しておくことで、亡くなった後に家族が「何をすればいいかわからない」「故人の希望がわからない」という状況を防ぐことができます。
「誰に任せるか」を今すぐ考えることの意味

死後事務委任契約は、判断能力があるうちにしか締結できません。「そのうち考えよう」と先延ばしにしていると、気づいたときには準備ができない状況になっていることがあります。
「誰に任せるか」を今すぐ考え始めることは、自分自身のためだけでなく、家族・周囲の人への最大の思いやりでもあります。
宇都宮市のKanade行政書士事務所では、死後事務委任契約のご相談・契約書の作成・公証役場との連絡調整をサポートしています。「まず話を聞いてみたい」という方も、お気軽にご連絡ください。
死後の手続きを任せる相手の選び方
死後の事務を誰に任せるかは、終活の中でも特に重要な判断です。家族に任せる場合・専門家に委託する場合で、それぞれ特徴があります。
家族に任せる場合:費用負担がなく、ご本人の意向も伝わりやすい反面、家族の心身への負担が大きくなります。
専門家に委託する場合:費用はかかりますが、確実な履行が期待でき、家族への負担を軽減できます。
どちらを選ぶにせよ、事前に「何を・誰が・どう進めるか」を書面にしておくことが大切です。Kanade行政書士事務所では、死後事務委任契約の設計からご相談をお受けしています。
よくある質問
死後事務は行政書士に任せることができますか?
はい。行政書士は死後事務委任契約の受任者として、葬儀の手配・各種解約・行政への届出などの死後事務を担当することができます。契約書は公正証書で作成し、受任者・委任内容・報酬を明確にしておくことが重要です。
死後事務を任せる人は生前に決めておかなければなりませんか?
はい。死後事務委任契約は、委任者(本人)が判断能力のある状態でなければ締結できません。亡くなってから「誰かに頼もう」では間に合いません。元気なうちに信頼できる専門家や機関と契約しておくことが唯一の備えになります。
家族がいても死後事務委任契約を結ぶ意味はありますか?
あります。家族がいても、遠方・多忙・高齢・精神的な負担などの事情で死後事務を円滑に進めるのが難しい場合があります。また、相続人間のトラブルを防ぐために、中立的な第三者(行政書士など)が死後事務を担当することで手続きがスムーズに進むケースもあります。

