死後事務委任契約とは?できること・できないことをわかりやすく解説

死後事務委任契約とは?できること・できないことをわかりやすく解説

2026年4月1日

「亡くなった後のことが心配」「家族に迷惑をかけたくない」「頼れる身内がいない」——そんな方に知ってほしい制度が死後事務委任契約です。

遺言書を作っても、死後の実務手続き(葬儀・役所・各種解約など)は遺言書だけではカバーできません。死後事務委任契約は、そのギャップを埋めるための大切な備えです。

死後事務委任契約とは

死後事務委任契約とは、亡くなった後に発生するさまざまな手続きを、生前に信頼できる人(または専門家)に委任しておく契約です。

委任を受けた人(受任者)は、依頼者が亡くなった後、契約に定められた事務を実施します。

死後事務委任契約でできること

できること(委任できる事務の例)

  • 死亡診断書の受け取り・死亡届の提出
  • 葬儀・火葬の手配と費用の支払い
  • 遺骨の納骨・散骨の手配
  • 健康保険・年金の資格喪失手続き
  • 電気・ガス・水道・電話の解約
  • 銀行口座の解約・残高の受け取り(遺言執行者と協力)
  • 賃貸住宅の退去・家財道具の処分
  • SNS・メールアカウントの削除
  • 入院・施設の費用精算
  • ペットの引き渡し

できないこと(受任者の権限外)

  • 財産の相続・分配(遺言書・遺産分割の範疇)
  • 相続税申告(税理士の業務)
  • 不動産の相続登記(司法書士の業務)
  • 医療行為への同意(生前の意思表示が必要)

遺言書との使い分け

項目 遺言書 死後事務委任契約
財産の分配方法 ×
葬儀・火葬の手配 ×(効力なし)
各種解約手続き ×
役所への届出 ×
希望を記載すること ○(付言事項)

両方を作成しておくことで、死後の手続き全体をカバーできます。

こんな方に特におすすめ

  • おひとりさまで頼れる家族がいない方
  • 子どもに迷惑をかけたくない方
  • 遠方に住む家族に手続きの負担をかけたくない方
  • ペットがいる方(引き渡し先を確保したい)
  • 自分の希望通りの葬儀・供養にしたい方

契約の作り方

  1. 受任者を決める:家族・知人・行政書士などの専門家
  2. 委任する事務の内容を決める:葬儀の方法・費用・各手続き
  3. 公正証書で作成する(推奨):法的安定性が高まる
  4. 費用の準備:預託金や生命保険の活用も検討

初回60分無料でご相談いただけます。「亡くなった後のことも、ちゃんと準備しておきたい」という方はお気軽にご連絡ください。

死後事務委任契約の費用と預託金

死後事務委任契約にかかる費用は、「契約書作成費用」「執行報酬」「預託金」の3つに分けて考えると整理しやすいです。

費用の種類 目安
契約書作成費用(行政書士報酬) 5万〜15万円程度
公正証書化費用(公証役場) 約1万1,000円〜
執行報酬(死後の事務実施報酬) 実費込みで20万〜50万円程度
預託金(事務実施のための費用先預け) 50万〜100万円程度(内容・地域により異なる)

「預託金」とは、契約締結時に受任者に事前に預ける費用です。死後の事務(葬儀費用・遺品整理・公共料金の精算など)には現金が必要ですが、本人が亡くなった後は口座が凍結されるため、事前に預けておくことで円滑に対応できます。費用の準備方法として、生命保険(死亡保険金の受取人を受任者に指定)を活用するケースもあります。

受任者選びのポイントと注意点

死後事務委任契約の受任者は、家族・友人・専門家(行政書士・司法書士)など、信頼できる個人・法人を選ぶことができます。それぞれにメリットと注意点があります。

家族・友人に頼む場合
費用がかからない反面、精神的・実務的な負担が大きくなることがあります。また、受任者が本人より先に亡くなってしまうリスクや、高齢になって対応が難しくなるリスクもあります。契約を結ぶだけでなく、具体的な手順書を渡しておくことが大切です。

専門家(行政書士・司法書士)に頼む場合
業務として継続的に対応できる体制があり、死亡後の各種手続き(役所・金融機関・賃貸住宅の解約など)に慣れています。費用はかかりますが、確実に実行される安心感があります。事務所が廃業・閉院するリスクに備えて、法人として受任している場合は特に安心です。

複数人での受任
「行政書士が手続き面を担い、友人が形見分けなどの私的な部分を担当する」という形で、複数の受任者を設定することも可能です。役割分担を明確にした契約書を作成することがポイントです。

よくある質問
死後事務委任契約と遺言書の違いは何ですか?
遺言書は財産の分配方法を指定するものです。死後事務委任契約は葬儀・火葬・役所への届出・各種解約手続きなど、財産分配以外の死後の実務手続きを任せる契約です。両方を作成しておくことで、死後の手続き全体をカバーできます。
死後事務委任契約はいつ作ればよいですか?
判断能力があるうちであればいつでも作れます。ただし、認知症が進んでからでは契約の有効性が問われる可能性があります。「まだ元気なうちに」作成することをおすすめします。公正証書で作成すると法的安定性が高まります。
死後事務委任契約の費用はどのくらいかかりますか?
契約書作成費用として行政書士に依頼する場合5〜15万円程度が目安です。実際に業務を執行したときの報酬は別途発生します(実費+報酬)。費用は事務所により異なるため、複数の専門家に見積もりを取ることをおすすめします。

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この記事を書いた人

特定行政書士 入江 紀子

栃木県・宇都宮市に拠点を置く相続・遺言・終活専門の行政書士事務所。難しい法律を分かりやすく伝えることを大切に、地域の方々の「想い」を形にするお手伝いをしています。