許認可の引継ぎで考えておくべきこと

許認可の引継ぎで考えておくべきこと

事業承継を考えるとき、多くの経営者が見落としがちなのが「許認可の引継ぎ」です。建設業・飲食業・介護事業・運送業など、許認可が必要な業種では、後継者が同じ許認可を持っていなければ、事業承継後すぐに営業できない事態になります。この記事では、許認可の引継ぎで押さえておくべき基本を解説します。

許認可は「相続」されない

重要なポイントとして、許認可は原則として相続や譲渡によって自動的に引き継がれません。許認可は、その事業者(個人・法人)に対して付与されるものだからです。

例えば、個人事業主として建設業許可を持っていた父が亡くなった場合、息子がその許可をそのまま引き継ぐことはできません。息子が事業を続けるには、新たに建設業許可を取得するか、一定の要件を満たした上で「事業承継等の認定申請」を行う必要があります。

許認可の引継ぎに関わる主な手続き

業種・許認可の種類によって引継ぎ方法は異なります。代表的なものを整理します。

業種・許認可 引継ぎ方法の概要
建設業許可(個人→個人) 「個人事業の相続」区分として承継制度の対象。被相続人の死亡後30日以内に申請可。認可申請がある間、相続人は許可を受けたものとして扱われる。
建設業許可(個人→法人) 2020年改正の承継制度の対象。「事業譲渡」区分として承継制度の対象。後継法人が認可申請を行い、法人として経営業務管理責任者・営業所技術者等(専任技術者)の要件を承継日時点で満たせば許可を引き継ぐことが可能。個人→法人の法人成りも同区分。承継事実(法人設立・譲渡)の前に認可が必要。
飲食業(食品衛生法) 営業許可は個人ごとに付与。後継者が新たに申請する必要がある。食品衛生責任者の資格も必要。
介護事業(指定) 法人格の変更・代表者変更は届出が必要。吸収合併・事業譲渡では指定が承継されない場合がある。
運送業(一般貨物自動車運送事業) 許可の承継申請制度あり。一定の要件のもとで国土交通省に申請。
宅建業(宅地建物取引業) 許可は承継不可。後継者が新たに免許申請が必要。

上記はあくまで概要です。実際の手続きは所轄官庁・許可の種類・承継の形態によって異なるため、必ず専門家に確認してください。

事業承継の「空白期間」に注意

許認可の手続きには時間がかかるため、現経営者が業務を終えてから後継者の許可が下りるまでの間に「営業できない空白期間」が生じることがあります。

この空白期間を避けるためには、次の対策が有効です。

  • 後継者が早めに要件を満たすよう準備する(資格取得・実務経験の積み上げなど)
  • 現経営者が存命・現役のうちに承継申請を行う(個人事業主の建設業許可など)
  • 法人化によって許可の継続性を確保する

行政書士が許認可引継ぎでできること

許認可の承継申請・新規申請の書類作成・提出代行は、行政書士の専門業務です。

特に建設業許可の承継申請は、経営業務管理責任者の確認・営業所技術者等(専任技術者)の要件確認・財産的基礎の確認など、書類の準備に手間がかかります。後継者の準備状況に応じて、申請タイミングを含めた戦略的なアドバイスも行います。

事業承継を検討している場合は、許認可の現状確認を早めに行うことをおすすめします。

建設業許可の事業承継等認定申請とは

2020年10月の建設業法改正により、建設業許可の「事業承継等認定申請」制度が創設されました。これにより、許可業者の地位を後継者に引き継ぐことができるようになりました。

この制度のポイントは以下のとおりです。

  • 対象となる承継の形態:個人→個人(相続)、個人→法人、法人→法人、法人→個人のすべてが対象
  • 申請のタイミング:相続を除き、承継の事実が発生する前に認可を受ける必要がある(事実発生後のさかのぼり申請は不可)。個人事業の相続の場合のみ、被相続人の死亡後30日以内に申請可
  • 後継者の要件:承継日以降において、承継後のすべての業種について経営業務管理責任者・営業所技術者等(専任技術者)の要件を満たしていることが前提
  • 認可後の許可の有効期間:事業承継(相続を除く)の場合は承継日の翌日から5年、個人事業の相続の場合は被相続人の死亡日から5年(残存期間の引継ぎではない)

認可が下りれば、空白期間なく許可を引き継げるメリットがあります。なお、この制度を利用すると許可だけでなく、被承継人が受けた監督処分や経営事項審査の結果も承継することになる点に注意が必要です。後継者が要件を満たしていない場合は認可申請が使えないため、早めの確認と準備が不可欠です。

栃木県での建設業許可の承継申請先

栃木県内のみで建設業を営む場合(知事許可)の申請窓口は以下のとおりです。

項目 内容
申請窓口 栃木県県土整備部監理課 建設業担当(宇都宮市塙田1-1-20 栃木県庁舎)
事前相談 承継予定日の2か月以上前に事前相談を行うこと(事前相談なしで申請すると認可が間に合わない場合あり)
申請手数料 認可申請:無料
認可後の許可番号 被承継人の許可番号を引き続き使用(双方が既に許可業者の場合はどちらか選択可)

2つ以上の都道府県に営業所を持つ場合(大臣許可)は、承継人の主たる営業所を管轄する地方整備局への申請になります。

書類の準備・要件確認・申請書作成は行政書士が対応します。事前相談の段階から同席・サポートすることも可能です。承継を検討している場合は、まず許認可の現状確認を早めに行うことをおすすめします。

よくある質問
建設業許可は相続で引き継ぐことができますか?
2020年の建設業法改正により、一定の要件を満たす場合に「事業承継等認定申請」によって建設業許可を引き継ぐことが可能になりました。ただし、経営業務管理責任者・営業所技術者等(専任技術者)などの要件を後継者が承継日時点で満たしている必要があります。また、相続を除き承継事実が発生する前に認可を受ける必要があるため、承継予定日の2か月以上前に事前相談を行うことをおすすめします。
飲食店の営業許可は後継者にそのまま引き継げますか?
飲食店の営業許可(食品衛生法に基づく)は個人・法人ごとに付与されるため、後継者が新たに申請する必要があります。また、食品衛生責任者の資格も後継者が取得する必要があります。廃業・再開という形になるため、手続きのタイミングに注意が必要です。
許認可の引継ぎ手続きはどこに依頼すればよいですか?
許認可の承継申請・新規申請の書類作成・提出代行は行政書士の専門業務です。許可の種類・承継の形態によって手続きが異なるため、早めに行政書士に相談することをおすすめします。

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この記事を書いた人

特定行政書士 入江 紀子

栃木県・宇都宮市に拠点を置く相続・遺言・終活専門の行政書士事務所。難しい法律を分かりやすく伝えることを大切に、地域の方々の「想い」を形にするお手伝いをしています。